scan-29 NYの楽器屋でSAXと記念撮影

#N.Y.ジャズ三昧No.6 /KATO
★内容
 6月9日、N.Y.での四日目です。
 ライブに行く以外たいした金を使わずここまできました。私の買った物といったら、Tシャツとヤンキーズの帽子ぐらいのものです。「今日は一つ、五番外でも歩いてみるか。」といってもティファニーのご尊顔でも拝見してくるだけなんだけど。

 私たちはホテルのある7thアベニューから56thストリートを通り、5thアベニューに出てきました。私たちはここで北上すればすぐティファニーの前に行ったのですが、中央に行った方が何かあるだろうと南に行ってしまいました。

 私たちは、銀座を歩くお上りさんよろしく、5thアベニューをきょろきょろしながら歩いて行きます。アメリカやヨーロッパのブランドショップがあります。日本企業の入っているビルもあります。途中おもしろそうな店に入って見ます。
 HMVもありました。 東京にあるのと同じような感じです。 輸入板ばかり。 いゃあ、 逆ですね。だいたい、13ドルから16ドルぐらいしています。私は菊地雅章の英語ばかりで書いてある旧作などを買いました。

 「おいおい、エンパイアステートビルまで、きちまったぜ。」ちょっとこしかけて、地図を確認。 「こりゃあ、 マジソンスクエア・ガーデンが近いぞ。」「こうなったら、お上りさんらしく、前まででも行ってみよう。」またまた、正面で記念撮影。そして、ソフトクリームをありがたがって食うのでした。

 通りにはロンドンの2階建てバスト同じ物がはしっています。これは、ニューヨーク観光用です。私たちは、それに乗って、ハーレムに行こうか悩みましたが、結局やめました。

 私は、48thストリートの楽器屋を見たかったし、相棒はナイキタウンに行きたいということで、戻ることになりました。おりしも昼食時で、ニューヨーカーが歩道にあふれ、足早に行き交います。

 小林氏から48thストリートで6thと7thアベニューの間に楽器屋があると聴いていたので、 行ってみました。 最初に入ったギターショップで、日本人の店員から管楽器店を教えてもらいました。
 目立たないビルの3階にその店はありました。奥が工房、手前に楽器が並べてあり、店内には、この店を訪れるミュージシャンの写真がたくさん貼ってあります。マーク6のテナーを見せてもらっていると、右隣にお客がきました。その人もテナーを見せてもらってました。彼はすぐに帰ってしまいましたが、店員が、「今の男はカウント・ベーシーのところのテナーだよ。」と教えてくれました。そして、「午前中に、オーネット・コールマンが来たんだ。」と言うではありませんか。私は腰を抜かしそうになりました。そして、とんでもないばかでかいサックスの前で写真をとりました。
 「ハーレムには行ったかい。」私たちが「危ないと聴いていたから行かなかった。」というと「ハーレムに行けばもっとジャズが聴けるし、どんな人でも参加できるセッションだってやっている。今度来る時は、いい所を教えてあげるよ。」と言ってくれました。私は、この店に初日に来ておけば良かったと思いました。

 日本じゃ、 猫も杓子もナイキのスニーカーってことになっていますが、N.Y.には、「ナイキタウン」というナイキのビルがあります。相棒は、人から頼まれていることもあって、見て行くことにしました。しかし、あまりの日本人の多さに呆れてしまい、スニーカーは買いませんでした。それでも、一通り見てまわると、ナイキのスポーツウエアなど、いろいろあるものです。結局相棒は、Tシャツを買ったようです。

 ナイキの側にあのティファニーもありました。さすがに店に入る勇気はありませんでしたが、場違いな風体のまま、その前でまたまた、写真におさまりました。

 その足で、私たちは夜中のパーティーのために酒やつまみを買い、ストアから出てきました。その男は、杖を持っている私の右側から現れ、左側を歩いていた相棒に突っかかってきました。そして、何か言いながらしつこくつきまといます。私は、彼が言っていることが判りませんでしたが、杖を大きく出して男を振りきって前進しました。通りを渡れば私たちのホテルです。
 「いやあ、どうなっちゃったの。」「『彼のハンディも判るが、おれも困っているんだ。だから、クォーター出せ。』って言っていたんだ。」
 失業者がメッセージを書いた紙を持ち、物乞いをしている事は、よくあるようですが、こういうあらっぽいのは珍しいようです。私たちの、うかれ気分は、すっかり吹っ飛んでしまいました。その後、相棒が一人でサンドイッチを買いに行っている間の長く感じたことといったらありませんでした。なんだか、アメリカンドリームの陰の部分をかいま見たような気がします。