scan-28 ケイジャンのライブ * バードランド

#N.Y.ジャズ三昧No.5 /KATO
★内容「ケイジャン」
 私たちは、昨日のスイートベージルに味をしめて、「今日も行こうか」と思ったのですが、腹もへったし、ディキシーやってるレストランらしいので「ケイジャン」という所に入りました。クレオール風のランチが出てくるようです。ビーンズの入ったスープから、チキンのメインディッシュ、フランスパンを食って、人心地つきました。

 バンドが出て来ました。80歳過ぎの黒人のおじいさん3人と年齢不詳の女性のカルテットです。どうやら、ディキシーというよりスイングのようです。 ベースのおじいさん、 ジミー・バッツ&フレンズということのようです。エリントンの曲や小唄のたぐいを演奏します。紅一点の女性はバリトンサックス・フルート・クラリネットを起用に持ち変え、おまけに歌まで歌います。ドラムのチャンジーは、大ごきげんで、スネア一つだけでスイングしまくっています。特別うまいということはないのに、ジャズを感じます。昼間の酒がきいてきて、彼らの演奏と相まって、ほのぼのした気分です。そこへヴォーカルの女性も登場しました。東京で聴く外タレのように妙なありがたさはないけれど、ジャズの持つエンターテイメントを強く感じさせてくれました。

 相棒は、「あのドラムのじいさん、おれ、気に入ったよ。何か口走りながらにこにこしていて、最高だったな。」とご祝儀を出したんです。N.Y.で新しいものが聴けるのは当然でしょうが、こんな天然記念物みたいなミュージシャンもいたんですね。

 ケイジャンを出て、私たちはまたまたビレッジを徘徊しました。ワシントンスクエアでは、日曜の午後ということもあって、多くの人が出ています。空手のパフォーマンスかと思ったらコメディーみたいのをやってます。60年代風のギターをかき鳴らしながらのコーラスぐるーぷ。多くの犬を自由に遊ばせている一角。そして、フリーマーケット。開放的なアメリカの休日って感じです。

 私たちはビレッジを歩き回り、チャイナタウン、そしてリトルイタリーに入って来ました。そして、とうとうソーホーです。倉庫街が芸術家の街となって、今やN.Y.での一等地です。 ギャラリーやブティック、 高級店など、どうも私たちにはあまり縁がない所ばかりです。
 「それはそうと、何か、おれ大きいのがしたくなったよ。何しろ日本時間の明け方だから名。」と私が切迫した声を出しました。「じゃあ、どこか店屋に入ろう。」高そうな店ばかりでうろうろしてしまいましたが、やっとにぎやかなカフェのような所に入りました。「ビールでもたのんで、レストルームを借りるか。」席に着いて、注文がなかなかこないので、用をすませて来ました。「それじゃ、これで良いか。」結局私たちは何にも注文せずに出てきました。「ソーホーでクソをしてきたのはおまえぐらいだ。」と相棒に当分言われます。

「バードランド」の小林陽一
 夜は、このツアーのメインイベントです。小林陽一&グッドフェローズのバードランドでのライブレコーディングです。しかし、このバードランドというのがくせものでした。私はこのツアーの案内を見て、「あのバードランドに行けるならいこうじゃないか。」と思ったのでした。バードランドと聴いて、「アート・ブレーキー・クインテットのライブ」とパブロフの犬状態に反応してしまいますよね。実は、そのバードランドは、クローズしてしまい、今あるバードランドは新しい店だそうなんです。

 それはともかく、私たちは、わざわざ日本から来たさくらなんですから、がんばって拍手をしましょう。店のMCの女性が小林陽一&グッドフェローズをコールして、演奏が始まりました。ゆったりスタンダードから始まったのですが、緊張がひしひしと感じます。そして、昨日も演奏したオリジナルを立て続けにやります。 徐々に緊張がゆるんで、 いい感じになってきました。中でも落ちついていたのはピアノの斉藤さんでした。こういう時に女の人って腰が据わってますね。

 グッドフェローズのスタイルは、ハードバップをベーシックに持ち、日本人ならではの繊細さや緻密さを生かしたサウンドです。現在のメンバー全員がきまじめな感じで、それが、良くも悪くも演奏に反映しています。

 ロックビートのファンキーな曲で、 私はオーバーに乗ってみせたんですが、周りのお客さんがみんなじみな乗りをしてました。子供の頃聴いたラムゼイ・ルイスの「ジ・インクラウド」みたいのがライブハウスの乗りなんだろうと信じていますが、なかなかそういう状況にお目にかかりませんね。

 何はともあれ、N.Y.で修行した小林陽一が日本から仲間をつれて、お礼参りに来たというライブは、終わりました。これが、CDになるのでしょうから、是非リリースされたら聴きたいものです。