この文章は、1999年点字民報に掲載したものです。

#チャレンジWINDOWS(1)
    「はじめに」
 いつまでもMS−DOSにしがみついていると時代遅れなのかなあと感じる昨今ですがまだまだMS−DOSも捨てがたいOSです。しかし、OCR(墨字を読みとるソフト)やインターネットブラウザ(ホームページを見るソフト)などは、WINDOWSの上で使うものです。ここ数年でパソコンを買った方の所にはすでにWINDOWS95か98が入っています。持っているものを使わないでいるのもしゃくですね。筆者もまだまだ使いこなせてるとはいえませんが、この連載が新たな窓を開くきっかけになれたらと思います。
    「特徴」
 WINDOWSの特徴としては、gUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェイス)とマルチタスクなどがあげられます。操作を絵文字(アイコン)にして、マウスでそこをクリックする操作がGUIです。目の見える人にとっては、画面を見ただけで直感的な操作ができます。これが視傷者にとってはネックになります。しかし、基本的な操作は、カーソルキーやタブキー、あるいはショートカットキー(いくつかのキーを同時に押す)などで代行できます。しかし、ソフトによっては、どうしてもマウスでないと操作できないことも多々あります。この点がどこまで私たちに使えるようになるかは今後の課題でしょう。
 ワープロをしながら表計算ソフトで集計をし、表をワープロ文書に貼り付ける。このように同時に複数のソフトを使うことをマルチタスクといいます。MS−DOSのエディタでもいくつかのファイルを同時に開けますが、異なるソフトを同時進行させることはできません。WINDOWSの音声化でウインドウを切り替える操作と・アクティブ・ウインドウの確認は、全盲でも可能です。
 WINDOWSの画面は弱視にとって、表示される情報が多すぎて見にくい場合もありますが、画面の背景色や文字色などユーザに会わせた設定ができます。また、印刷する文字の大きさや書体の自由度があるのも魅力です。
    「音声化ソフト」
 WINDOWSの音声化ソフトには、現在95READERとPCTALKER/VDM100Wの2種があります。95READERは、障害者雇用促進協会が開発し [SSCT] から発売されています。
PCTALKER/VDM100Wは、 [高知システム開発] [アクセステクノロジー] の共同開発で、AOKライクな方がPCTALKER、VDMライクな方がVDM100Wとして発売されているようです。いずれも特別な音声装置を買う必要はなく、WINDOWSパソコンに内蔵されている音源(サウンド・ブラスタ)があれば利用できます。
 両者とも一長一短があるようで、現在どちらに軍配が上がるとはいえません。95READERは、一般ソフトに多く対応し、WINDOWSの基本操作や設定を音声化することに力を入れています。一方PCTALKER/VDM100Wは、従来からの視傷者ソフトの操作性を受け継ぎ視傷者用にアプリケーションの開発もされつつあります。
    「6点入力」
 6点式の入力はどちらとも可能ですが、長谷川式六点漢字を直接扱えるのは、PCTALKERです。但し、パソコンのメーカーや機種によりキーボードが6点入力を受け付けない者があります。概ねNECとアイ・ビー・エムの物は6点入力が可能なようですが、購入時に確認する必要があります。
    「セットアップ」
 音声化ソフトのインストールは、CD−ROMをセットするだけで音声に従い数回リターンキーを押せばできてしまいます。しかし、その前のパソコン自体のセットアップは視傷者独力では不可能です。晴眼者であってもパソコン初心者では無理です。パソコンの初期設定は絶対に販売店かパソコンに熟知した人にしてもらいましょう。
    「最後に」
 今は、LPからCDに替わった頃のようなものだと思います。新譜はCDでリリースされ、レコードは世の中から無くなると言われてレコードプレーヤも店頭から無くなったようでしたが、最近のDJブームでまたまたLPは復活しました。大きな時代の流れはあるとしても、ある意味で世の中に合わせるのか自分に合わせるのかを考えた方がいいと思います。(MS−DOSに未練がある筆者のつぶやき)


#チャレンジWINDOWS(2)
WINDOWSの起動と終了
 パソコンの電源を入れるだけでWINDOWSが起動されるものもありますが、パスワードの入力を要求してくるものもあります。パスワードの入力時はガイダンスもキーエコーも音声化されませんから、パスワードはなるべくリターンキーのみか簡単な文字列にしておいた方がいいでしょう。ハードディスクのアクセス音がしてしばらくすると「フアフアフアーン!!」とジングルがなります。その後「95READER移動」などと発生され音声での操作が可能になります。この時点であらかじめスタートアップに登録されているソフトが起動され、場合によっては前回きちんと終了しておかなかったソフトなど、いくつかの窓が開いています。
 WINDOWSのソフトの起動は、特別なランチャー(メニューソフト)などを使用していなければスタートメニューを表示させ、そこから選択していきます。視力のある方はデスクトップ画面のアイコンをクリックすることで目的のソフトを起動できます。(ショートカットキーが作られていれば、複数のキーを同時に押す操作でソフトを起動することもできます。)
 それでは、スタートメニューを出してみましょう。WINDOWSキーを押します。(WINDOWSキーのない機種では、コントロールキー+エスケープキーです。)スタートメニューが現れ、上下のカーソルキーで項目を移動できます。
 スタートメニューは、個々のパソコンにより異なりますが、概ね以下のような項目が現れます。
-----------------------------------------------------------------------------
95READER
ゴミ函
マイコンピュータ
プログラム(p)→
最近使ったファイル(D)→
設定(S)→
検索(F)→
ヘルプ(H)
ファイル名を指定して実行...(R)
WINDOWSの終了...(U)
-----------------------------------------------------------------------------
 項目の後のアルファベットは、ショートカットキーです。WINDOWSを終了させる場合は、スタートメニューを出してから上下カーソルで「WINDOWSの終了」へ移動することもできますが、アルファベットの「U」を押すことでも可能です。
 →は、右向きカーソルでサブメニューに入れることを表しています。
 また、項目の後に...とあるのは、この先にいくつかの選択肢や入力項目があることを示しています。「WINDOWSの終了」では、数個の終了方法があります。
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コンピュータの電源を切れる状態にする
コンピュータを再起動する
MS−DOSモードでコンピュータを再起動する
アプリケーションを終了しWINDOWSにログオンしなおす
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 「電源を切れる状態にする」でパソコンを完全に止めることができます。他の方法は再起動の種類と考えていいでしょう。

「メモ帳」の起動と終了。
 それでは、簡単な分諸策生プログラムである「メモ帳」を起動してみましょう。
 スタート目丹生の「プログラム(p)→」で右向きカーソルを押します。下向きカーソルを押していくと、いろいろなプログラムの項目が出てきます。「アクセサリー→」の所で右向きカーソルを押します。下向きカーソルを押していくと「メモ帳」にたどり着きます。ここでリターンキーを押すとメモ帳が起動します。
 メモ帳の終了は、WINDOWSソフト共通の方法でALTキーを押し、「ファイルメニュー」を出し、上下カーソルで「終了」を選択します。また、ショートカットキーとして「ALT+PH4」(PC9821では、グラフィックキー+F4)があります。
 「ジャン」と警告音が鳴って「メモ帳の警告メッセージ」
「ファイルXXXの内容が変更されています。変更しますか?」
と聴いてきますから、「はい」・「いいえ」・「キャンセル」をタブキーで選んでリターンキーを押して下さい。


#チャレンジWINDOWS(3)
ワードパッドの使い方(1)
 今回はWINDOWSに付属しているワープロソフトである「ワードパッド」の基本的な操作をしてみましょう。前回少しふれた「メモ帳」というソフトも文書を書くためのものですが、扱えるファイルは標準テキストのみで、ファイルサイズにも制限があります。「ワードパッド」でも標準テキストは処理できますが、書式を付けた独自のファイル形式を採用しています。一般によく使われている「マイクロソフト・ワード98」よりは、みおとりしますが、音声環境でも使えて、MSワード文書でも処理できるものもありますから有意義なソフトといえます。

「ワードパッドの起動」
 それではワードパッドを起動しましょう。WINDOWSが起動している状態からWINDOWSキーを押してスタートメニューを表示します。カーソルキーを使って「プログラム」→「アクセサリー」→「ワードパッド」の所でエンターキー(リターンキー)を押します。「ワードパッド最大化」と発生されて「無題」のファイルとして分暑が書けます。

ファイルを開く「ダイアログボックス」の使い方
 おそらくすでにMS−DOSのパソコンを使われていた方がほとんどでしょうから今まで書いたテキストが手元にあると思います。ここではフロッピーディスクにある標準テキストを読み込む操作をしましょう。
 ALTキー(GRAPHキー)を押してファイルメニューを出します。下カーソルを押していくと「ファイルを開く」がありますから、そこでエンターキー。ここでいくつかの項目についての設定を行いますがこの部分をダイアログボックスといいます。各項目の移動はタブキーで行います。シフトキー+タブキーで反対方向に移動します。項目内のファイル名やフォルダ名の選択は上下カーソルキーです。
(1)「ファイルの種類のコンボボックス」
 タブキーを押して「ファイルの種類のコンボボックス」に移動します。通常は「ワード文書」になっていますが、このままだと拡張子が.DOCの物しか表示されません。下カーソルを押していき「全てのファイル」を選びます。このときにエンターキーは不要です。
(2)「ファイルの場所のコンボボックス」
 TABきーで「ファイルの場所」へ移動します。ここでドライブ名を上下カーソルで選びます。(PC9821だとハードディスクがAとかBでその後に3.5インチフロッピーとなっています。)
(3)「文書ワードパッドのリストビュー」
 タブキーを押していくとファイルリスト一覧が表示されます。サブディレクトリがある場合はそれも表示されます。もしその中のファイルを処理したい場合はそのフォルダ名の所でエンターキーを押すとその中のファイルリストが現れます。上下カーソルでファイルを選択します。
(4)「ファイル名のエディット」
 タブキーを押してこの部分には先に選択したファイル名があることを確認して下さい。(ファイルを開く操作でここにいきなりファイル名をキー入力することも可能です。)
(5)「開くのプッシュボタン」「キャンセルのプッシュボタン」
 タブキーを押して「開くのプッシュボタン」でエンターキーで目的のファイルが読み込まれます。

 *ここまで書くと何と面倒くさい操作だと感じる方もいるでしょう。しかし、このダイアログボックスの操作手順で他の操作も行うのです。MS−DOSに慣れている方はコマンドライン・オプションスイッチ・フルパスといった呪文を入力する操作がこいしくなると思います。WINDOWSでは確実に必要項目を指定できるように「何々は以下から選びなさい」という対話形式を採用しているのです。


#チャレンジWINDOWS(4)
ワードパッドの使い方(2)
 前回に続いてWINDOWS付属のワープロソフトである「ワードパッド」を使いながら、WINDOWSの操作を見ていきましょう。他のWINDOWSのアプリケーションと操作体系の一貫性がありますから、ワードパッドで身につけた操作手順が後々役に立ちます。

カーソル移動と読み上げ
 上下のカーソルキーで1行上、1行下へ移動します。左右のカーソルキーで1文字前後の文字へ移動します。これは、当たり前の動作ですね。上下のカーソルキーを上下させることでカーソルから右の1行ずつを読み上げられます。
 行頭・行末への移動は、ホームキー・エンドキーで行います。従来のPC9821では、テンキーのホームクリアキーが行頭・ヘルプキーが行末移動になります。
 文書頭・文書末への移動は、コントロールキー+ホームキー・コントロールキー+エンドキーです。
 全文読み上げをするには、コントロールキーを押しながらフルキーの「A」を押します。読み上げを停止するには、ALTキーを2回続けて押します。これは95READERのクリップボード読み上げ機能を利用したものです。読み上げ・読み飛ばしについては視覚障害者用に開発されたソフトにはかないません

文書のコピーとカット&ペイスト
 編集作業をする上で、範囲指定をして、それを他の所へコピーしたり、移動したりすることがあります。たとえば、以下のような文書があります。
 「今日はたいへん良いお天気です。」
 「先日は、お世話になりました。」
 ここで、「たいへん」という言葉を上野行からしたの行へ移動して見ましょう。カーソルを「た」のところへ移動して、シフトキーを押しながら右カーソルを押していきます。「た・い・へ・ん」とカーソルを押していったら、シフトキーとカーソルキー両方のキーから手を放します。「たいへん」と発声されます。画面上では「たいへん」が反転表示されます。これが範囲指定です。
 ここで、ALTキーを押して、メニューを出します。右カーソルを押して、編集メニューに移動します。したカーソルを押していくと、「元に戻す」・「切り取り」・「コピー」・貼り付け」・・・といった項目があります。「切り取り」でエンターキーを押すと「たいへん」が削除されます。今度は、下の行の「先日は、」の後にカーソルを移動します。そこで、ALTきーを押し、編集メニューから「貼り付け」を選び、エンターキーを押します。すると、「先日は、たいへんお世話になりました。」となります。
 行った操作を取りやめたい場合は、編集メニューの「取り消し」で一つ前の状態に戻すことができます。
 もし、切り貼りでなく、両方の文書に「たいへん」を付けたければ、「たいへん」を範囲指定した後、編集メニューで「コピー」を選び、移したい一で編集メニューの「貼り付け」を実行します。
 少し回りくどい操作のようですが流れを理解してしまえば簡単です。そして、いちいち編集メニューを出さなくても、ショートカットキーを使えば迅速に切り貼りできます。
 全文読み上げで使ったコントロール+「A」は、範囲指定で「すべて選択」をしたものです。

マルチウインドウの操作
 次に他のプログラムで扱っている別のファイルに文書を貼り付けて見ましょう。スタートメニュー→プログラム→アクセサリー→メモ帳で「メモ帳」を起動します。
 アクティブウインドウの確認:現在どこのウインドウに注目しているのか知る必要があります。そこでコントロールキー+ALTキー+「A」で、アクティブウインドウを確認できます。
 ウインドウの切り替え:「メモ帳」から「ワードパッド」へウインドウを切り替える必要が出てきます。ALTキー+エスケープキーを押していくと、アクティブウインドウが切り替わります。
 ワードパッドの「先日は、たいへんお世話になりました。」を範囲指定して、「コピー」(CTRL+C)をじっこうします。CTRL+エスケープキーでアクティブウインドウをメモ帳に切り替えます。「貼り付け」(CTRL+V)を実行します。

日本語変換と文字の確認
 MS−IMEでもほとんどATOKと同じような感覚で感じへんかんができます。文書中の文字を詳細読みで確認するには、コントロールキー+ALTキー+「H」です。


#チャレンジWINDOWS(5)
ワードパッドの使い方(3)
 今回もワードパッドの操作の続きです。

「レイアウト」
 WINDOWSの場合は1ページに何行何升書けるかということは、紙の大きさと字のサイズなどにより変わってきます。通常A4縦置きになっていますが、あらかじめB5などにしておくこともできます。

「フォントと文字の大きさ」
 文字の大きさを指定したりセンタリングをする場合は、前回行ったような範囲指定の操作が必要になります。(ここから、ここまでという所をシフトキーを押しながらカーソルでなぞると反転表示されます。)
 文書全体を同じ大きさの文字で印刷する場合は、「コントロール+A」などですべてを選択します。
 範囲が決まったら、ALTキーを押し、メニューを出します。左右のカーソルで大きな項目に移動しますから、右カーソルを押して、「書式」に移動します。下カーソルを押していくと「フォント」・「箇条書き」・「段落」・「タブ」のように切り替わります。「フォント」のところでエンターキーを押します。
 すると「フォントの指定」と発声され、タブキーで項目を移動することができます。
 「フォント名」・「スタイル」・「サイズ」のコンボボックスなどがあり、個々の項目の指定は上下のカーソルで行います。明朝体を使ったり英語をイタリックにしたりもできます。サイズはデフォルトで「9」などと出てくるかも知れませんが、全体をべた書きするなら「12」ぐらいがいいでしょう。弱視の人に見せるなら「16」ぐらいから試して見てください。
 見出しや固有名詞など目立たせたい部分の大きさを工夫することもできます。また、文字色もデフォルトでは黒になっていますが、いろいろせんたくできます。このあたりのことについては、身近な晴眼者と検討して下さい。

「センタリングと右寄せ」
 見出しをセンタリングして、名前を右寄せするなどのことは、よく行われますね。これも反転表示させてからALTキーを押し「書式」メニューに入ります。下カーソルで「段落」でエンターキーを押します。「段落の設定オープン」と発声されます。
タブキーを押していくと項目が変わりますが「配置のコンボボックス」のところで上下カーソルで左・右・中央を選択できます。タブキーで「OK」に移動してエンターキーを押します。

「検索」
 文書中の単語をさがしたり、なおしたりするために「検索」の機能を使います。ALTキーでメニューをだし左右カーソルで「検索」に移動します。下カーソルで「検索を選び」エンターキーを押します。「検索オープン」と発声されます。
「検索する文字列のエディットボックス」に検索したい文字を書き込みます。
 タブキーを押し、検索する方向のラジオボタンに移動し、上・下を選びます。
 エンターキーをオスと検索された場所に移動しますから、エスケープキーを押します。エンターキーでは次を検索してしまいます。このあたりの操作がちょっとやりにくく感じますね。

「印刷」
 いよいよ印刷です。ALTキーを押し、「ファイルメニュー」で、下カーソルを押していき「印刷」のところでエンターキーです
 タブキーで項目が変わりますが部数以外はあまり気にすることはありません。「OK」のところでエンターキーをオスと印刷が開始されます。

「最後に」
 長々「ワードパッド」について書きましたが、まだまだ機能の一部しか紹介できませんでした。後は、使いながらその都度操作を憶えていって下さい。
 著者はこれが使いやすいとはあまり思いませんが、本来のWINDOWSの操作が音声を頼りにするとこんなものなのです。今後他のワープロやエディタと比較検討して行きたいと思います


#チャレンジWINDOWS(6)
OCRソフト
「はじめに」
 WINDOWSというOSの利点は、画像や音声などの大きなデータを扱えるということです。OCRといわれる墨字の原稿を認識するソフトもこのおかげで実現しています。
 数年前からヨメール・よみとも・マイリードなど視覚障害者の墨字を読みたいという願いに応えるソフトが発売されています。その仕組みは、スキャナといわれる画像読みとり装置で絵柄として取り込んだデータをOCRソフトで文字として解析し、読み上げソフトが熟語などの日本語のルールに則り読み上げてくれるというものです。
 筆者もこの夢のような機械に絶大な期待を持って飛びつきました。郵便物やパンフレット、専門書や雑誌など山のように抱え込んでいて家族やボランティアにもなかなか十分読んでもらえないでいましたから。
 おそらくみなさんの興味は、どのソフトが良いかということでしょう。筆者のシステムは、エプソンのスキャナとソフトはヨメールそして自由自在です。高額なソフトのためいろいろ手元において試してみたいのですが、なかなかそうは行きません。なにかの折りに一堂に会して評価をしてみたいものです。
「OCRを使ってみて」
 偏りがあるとは思いますが、筆者の印象を記します。何でも読めるとはいえません、何も読めないともいえません。現状では私が一番読んでほしい物がほとんど読めない状態です。
 80点が付けられるのは同じ大きさの活字が並んでいるだけの原稿です。文字装飾やレイアウトにこっていないワープロ文書や文庫本などは概ね正確に読んでくれます。似たような字の誤認は仕方ありません。問題は第2水準漢字をどう扱うかです。候補にあがらないと誤認してしまうし、候補が多すぎても誤認してしまいます。
 50点ぐらいの認識としては、マニュアルや音楽CDのブックレットなどでしょうか。マニュアル類は、概ね活字が並んでいるところは、そこそこ読めます。しかし、画面表示やスイッチの一を図やイラストで示すようなものが途中に入ると意味不明の文字が現れます。CDのライナーノートなどは活字の大きさが小さくて認識率がおちるようです。
 私がもっとも読んでほしいと思うものは、郵便物の発信元、そしてその内容、名紙や通帳、パンフレットやカタログなどです。今の私の環境では、これらのものは、満足いくようには読めません。その原因としては、色刷りであること、文字の大きさがまちまちであること、見栄えを考えたレイアウトがされていること、罫線や文字装飾があることなどでしょうか。
 ヨメールでは、認識対象に合わせたモードを用意したり、表読み上げの工夫などがされていますが、なかなか思うようには読んでくれません。一方一般用OCrである「自由自在」などを使って判ることですが、眼が見える人がOCRを使えばもっと性格に読みとれるということです。認識領域の指定など、印刷物全体のどの部分を読みとるか、画面を見ながらマウスで範囲指定できれば、余分な絵やイラストに惑わされることがなくなります。この辺りの判断や設定をソフト側で行おうと、各社独自の工夫があるのでしょう。
「最後に」
 「なんでもいいから、この紙に何が書いてあるか見てくれ」というのが私達の欲求ですが、これに答えるのはなかなか難しいことだと思います。OCRソフトを使っているみなさんで、これは認識率が高いとか、こういう工夫で認識率をあげているというようなことがありましたら、レポートしていただきたいと思います。
 私は、OCRに期待するところもありますが、いろいろな手段を使って点字やテープになっていない情報を入手する工夫をした方が良いと考えます。従来通り身近な人やボランティアに読んでもらうこと。パソコンのできる晴眼者に入力してもらい、Eメールで送ってもらうこと。メーカーなどに事情を話し、マニュアルのテキストデータのディスクを送ってもらうこと。契約書や通知もワープロで書いていますから、ディスクでもらうことは可能です。そして、公共機関や企業のホームページを利用することは特に有効だと思います。


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